11. 大患難時代、キリストの再臨、千年王国の到来|聖書の教え


キリストが復活し、天に返ってから、約二千年が経過した。その間に、イエスの弟子たちによって開始された伝道活動は、世界の隅にまで広がり、キリスト教は、世界で最大の宗教となっていった。では、約束されている「キリストの再臨」はいつになるのだろうか?また、私たちが生きる現代は、神による人類救済計画の中で、どのような場所に位置しているのだろうか?

神の御国の到来に至る、預言のタイムテーブル

「ダニエル七十週の預言」キリストの再臨へ向かうタイムテーブル

聖書の預言を知らなくても、今の世界が、人類の文明存続にかかわる大きな分岐点に差し掛かっている、と感じている人は多い。

僅か100年足らずで、文明は過渡的に発展し、世界の状態はあまりにも一変した。人類が初めて経験した世界大戦をはじめ、核兵器の出現、人口の急増と、それに伴う資源の枯渇、環境汚染や気候変動など、現代人が直面しているような世界規模の問題はどれも、かつての人類が経験したことの無かったものである。

では、聖書の預言は、この時代について、何を示しているのだろうか?

キリスト再臨の時を示す「七十週の預言」

聖書学者の多くは、今の時代を、キリストの再臨が間近な「終末時代」だと考えている。その根拠の一つとして挙げられるのが、キリストの再臨に至るタイムテーブルが明確に示されている、ダニエル書の「七十週の預言」である。(ダニエル9:24-27)

少々難解な預言なので、本記事での詳しい解説は省略するが、預言のタイムテーブルによれば、次に到来する時代は、7年間に渡る「大艱難時代」であり、キリストの再臨は、この時代の終わりに生じることがわかっている。※詳しい解説は「キリストの再臨に至るタイムテーブル」にて

大艱難時代に至る前提条件は整った

七十週の預言のタイムテーブルを整理すると、最後の七年間が始まる前提条件は、「ユダヤ人がエルサレムに帰還していること」「イスラエル国家・及び代表者たちの存在」である。

ユダヤ人は、紀元70年にローマ帝国によって滅ぼされて以降、パレスチナを追われ、世界中を放浪してきた。ところが1948年、国連の決議によって、正式にイスラエル国家が承認され、約二千年間の時を経て、ユダヤ人はパレスチナの土地に帰ることを許された。

さらに1967年に起きた第三次中東戦争(六日戦争)以来、イスラエルはエルサレムの大半を支配するようになり、「ユダヤ人がエルサレムに帰還している」という前提条件も整った。[i]したがって現代は、大艱難時代がいつ到来してもおかしく無い、メシア再臨の直前の時代となっているのである。

大艱難時代における神の目的

そのときには、世界の初めから今までなく、今後も決してないほどの大きな苦難が来るからである。」(マタイ24:21

この七年間が「大艱難時代」と呼ばれる理由は、イエス・キリストが、「今後も決してないほどの大きな苦難が来る」と預言したからである。それにしても、神はなぜ、このような苦難の時代が来ることを許されるのだろうか?

大艱難時代の目的

所有者からの住人への警告

大艱難時代の目的とその意味を理解するためには、アパートの大家と住人の関係を考える必要がある。もし住人がアパートのルールに従わない場合、大家は何度か警告をした上で、住人を強制退去させるのが普通である。

聖書の神は創造主であり、人間の命を含める万物に対する所有権を持っているため、いわば大家のような存在である。神は大艱難時代に生じる苦難を通して、大家である創造主に従わない人類に繰り返し警告を与え、住人である彼らに最後のチャンスを与える。しかし、彼らが最終的に神に従わない場合は、裁きをもって、地上から強制退去させるのである。

自由意思による存在目的の否定

別の視点では、神は人間を、創造主と共に生きる存在として造った。したがって、人間が自由意志の選択によって神を否定することは、自らの存在理由・目的そのものを否定することにつながる。大艱難時代の警告は、地上で生きている全ての人間に、最後の選択を迫るものとなるのである。

かつて神は、地上の悪が回帰不能なレベルに増大した時に、ノアとその家族を除く全ての人々を、大洪水によって除き去った。ノアの方舟として知られているこの話は歴史的な事実であり、来るべきキリストの再臨における裁きの型ともなっている。人類の歴史に対する神の裁きの介入は、極めて現実的なものなのである。

大艱難~キリスト再臨の様相

大艱難時代 ラッパと鉢の裁き

世界戦争、飢饉、地震の増加:

「7 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります。8 しかし、そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです。」(マタイ24:7-8)

大艱難時代の始まりに、これらの大きな苦難が世界的に臨むかもしれない[i]。その時多くの人々は、すぐにでも世の終わりが来ることを予感するだろう。しかしそれは、続く七年間の患難時代の、ほんの始まりに過ぎない。

不法と偽預言者の増加:

不法の増加 暴動

「10 また、そのときは、人々が大ぜいつまずき、互いに裏切り、憎み合います。11 また、にせ預言者が多く起こって、多くの人々を惑わします。12 不法がはびこるので、多くの人たちの愛は冷たくなります。」(マタイ24:10-12

大艱難時代を通じて、地上全体で悪霊の影響が強まり、人々の間では愛が冷え、不法が増加することになる。人々は互いに裏切り、憎み合うことになるだろう。また、悪霊の霊感によって、人々を惑わす偽預言を行う者が多く起こる。真理を知らない多くの人々が、皆惑わされることになるだろう。

クリスチャンの迫害:

「9 そのとき、人々は、あなたがたを苦しいめに会わせ、殺します。また、わたしの名のために、あなたがたはすべての国の人々に憎まれます。・・13 しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われます。」(マタイ24:9-13

大艱難時代を通過することになるクリスチャンの多くは、厳しい迫害を経験するようになる[i]。信仰を保つことが、命がけの時代となるだろう。しかし、真の信仰を持つ全ての者は、神から力を与えられ、最後まで忍耐し、救われることになる。

福音が全世界に伝えられる:

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「そしてこのみ国の福音が全世界にのべ伝えられて、すべての民への証となろう。そのときにこそ終わりが来よう。」(マタイ24:14

「御国の福音」とは、イエス・キリストによる救いのメッセージである。このような患難の時代にあっても、人々から希望が無くなるわけではない。この時代、神によって「144,000人」の特別な奉仕者が任命され、福音はかつて無い規模と力で、世界中で伝えられる。

反キリスト(獣)による三年半の世界支配

「この獣は、傲慢なことを言い、・・四十二か月間・・あらゆる部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた。」(黙示録13:5-7

大艱難時代の始まりは、聖書の中で「反キリスト」と呼ばれる人物が、イスラエル及び世界の指導者たちと、平和に関する七年間の契約を締結することで、開始される。

この人物は、患難時代の中期に契約を破り、自らを神として高め、全世界を独裁的に支配するようになる。その時世界は、反キリストを崇めて「666の印」を受ける人々と、キリストに従って印を拒否する人々とに、二分されるようになる。(黙示録13章)

神の怒りの裁きが全地に下る

「第一の御使いが出て行き、鉢を地に向けてぶちまけた。すると、獣の刻印を受けている人々と、獣の像を拝む人々に、ひどい悪性のはれものができた。」(黙示録16:2

患難時代の終わりにかけて、地上に注がれる神の裁きは、徐々に重みを増していく。それらの裁きによって、地上の文明は壊滅的な状態となり、獣の数字「666」を受けた人々には、厳しい苦難と死が臨む。

栄光の王、キリストの再臨

栄光の王・キリストの再臨

「これらの日の苦難に続いてすぐに、太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は天から落ち、天の万象は揺り動かされます。30 そのとき、人の子のしるしが天に現われます。すると、地上のあらゆる種族は、悲しみながら、人の子が大能と輝かしい栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見るのです。」(マタイ24:29-31

大艱難時代の一連の患難の後、世界的な天変地異が生じ、「太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は天から落ち、天の万象は揺り動かさ」れる。そしてその時、イエスは輝かしい栄光を伴い、稲妻のような速さと威力で地上に到来する。

獣(反キリスト)を礼拝した全ての人間は滅ぼされ、キリストに従ってきた全ての者は、自分たちの忍耐が報われる救いの日が来たことを悟り、歓喜することになるだろう

こうして、キリストの再臨をもって、アダムの堕落以来続いてきた、人間の支配による苦難の歴史は終わりを迎え、いよいよ、永遠に渡る神の王国の時代が到来する

キリストが支配する千年王国の到来

これから世界で起こること(3) 千年王国(メシア的王国)の支配と祝福

再臨するイエス・キリストは、神の御国の王として王座につき、エルサレムから地の果に至る全世界を治める。その支配は、かつて人類が経験したことの無かったような、素晴らしいものとなる。

愛に基づく支配

メシア的王国の支配の特徴は、愛である。王であるキリストは、全ての住民に深い愛情を注ぎ、彼らを守り祝福する。その結果、千年王国の住人の間には、真実の愛が満ち溢れるだろう。

世界的な平和の確立

「2 終わりの日に、【主】の家の山は、山々の頂に堅く立ち、丘々よりもそびえ立ち、すべての国々がそこに流れて来る。・・それは、シオンからみおしえが出、エルサレムから【主】のことばが出るからだ。4 主は国々の間をさばき、多くの国々の民に、判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない。」(イザヤ2:2-4

千年王国では、エルサレムから出る主の言葉が、全ての住民に平和を教え、多くの国々の間に、公正な判決を下す。完全な義と、その義を行使する権威と力を持つキリストの元では、もはや人々は争うことは無い。普遍的な平和が、地の隅々にまで行き渡るだろう。

個人的な平和と繁栄

「21 彼らは家を建てて住み、ぶどう畑を作って、その実を食べる。22 彼らが建てて他人が住むことはなく、彼らが植えて他人が食べることはない。」(イザヤ65:21-22

「地では、山々の頂に穀物が豊かにあり、その実りはレバノンのように豊かで、町の人々は地の青草のように栄えますように。」(詩篇72:16

アダムの罪によって地が呪われて以降、大きく下がっていた世界の土地の生産性は、メシア的王国の祝福によって、かつての状態に近づいていく。誰もが、それぞれ自分の家を持ち、その権利が侵されることは決して無い。全ての人々には、適切な仕事が与えられ、その労働は実り豊かで喜びのあるものとなる。

病気が癒され、死が激減する

「5 そのとき、盲人の目は開かれ、耳しいた者の耳はあけられる。6 そのとき、足なえは鹿のようにとびはね、おしの舌は喜び歌う。荒野に水がわき出し、荒地に川が流れるからだ。」(イザヤ35:5-6

「20 そこにはもう、数日しか生きない乳飲み子も、寿命の満ちない老人もない。・・わたしの民の寿命は、木の寿命に等しく・・」(イザヤ62:20-22

千年王国では、神から注がれる祝福によって、あらゆる病が癒やされるようになるだろう。盲人は見えるようになり、耳の聞こえない人は聞けるようになり、足の不自由な人は飛び跳ね、口のきけない人の舌も開かれる。もはやそこでは、不治の病は存在しなくなる。

死は激減し、神に従う者たちには、再び永遠の命が与えられるようになる。

新しい天と地、永遠の秩序へ

「7 しかし千年の終わりに、サタンはその牢から解き放され、8 地の四方にある諸国の民、すなわち、ゴグとマゴグを惑わすために出て行き、戦いのために彼らを召集する。・・ 彼らは、地上の広い平地に上って来て、聖徒たちの陣営と愛された都とを取り囲んだ。すると、天から火が降って来て、彼らを焼き尽くした。」(黙示録20:7-9

キリストが治める千年間が終わると、「底知れぬ深み」という場所に閉じ込められていたサタンが一時的に解き放たれて、人類を惑わすことが許される。しかし、神は天からの火によって反逆する全ての者を裁き、彼らは滅ぼされる。

その後神は、古い世界を一新し、新しい天と地を創造される。そこは、永遠に神が支配する完全な世界であり、新天新地によって、堕落した世界を贖う神の人類救済計画は、完全に成就することになる。

神は、永遠・不変の存在であるため、ご自身の意図したその計画は、決して変わることがない。しかし、私たち人間の永遠の運命は、神の愛と救いの計画に対し、どちらを選択するかによって、大きく変わってくる。

救われて永遠の命を受けた人間と、滅びて死んだ人間には、それぞれどのような運命が待ち受けているのだろうか?

次回の記事では、天国と地獄における、彼らの最終的な運命について、詳しく取り上げる。

⇒12. 死後の世界~聖書が教える天国と地獄

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 脚注

[i] 六日戦争によって、ユダヤ人は、エルサレムの旧市街を占領するようになった。国際法上、正式には認められていないが、実質的な支配地域となっている。

[ii] 人類が初めて世界規模での戦争をしたのは、第一次世界大戦であることから、この大戦を、キリストの再臨が近い終末時代を表すしるしと見る解釈もある。

[iii] 当サイトでは、患難前携挙説にたって、終末論を説明しているが、この説が正しければ、大艱難時代に地上に取り残されるのは、不信仰なクリスチャンのみである。彼らは悔い改めて救われる可能性があるが、例外なく、厳しい迫害に耐えなければならなくなる。

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4件のフィードバック

  1. 三島 より:

    終末預言と天皇家の関わりはない事に同感します。
     天皇はユダヤの失われた10氏族のエフライムというダビデ王の系図にあたる子孫だと思ってはいますが、神々から生まれた神の子では断じてないと思います。
    古事記や日本書紀の確かな事は不明だという事で、何よりも古事記そのものが理性的な内容ではないと思います。
    水を叩いて神々が生まれたと等、子供騙しだと正直思えます。

    三笠宮さんは天皇家とユダヤの繋がりを研究しておられたそうです。
    多神教を崇める天皇家において勇気ある立派な方だと思います。
    いつから天皇は一神教から多神教になってしまったのだろう、
    旧約聖書の預言を読めばこれも神様の考えから生じたと思います。
    偶像崇拝をユダヤ人はずっと神に逆らって続けてきた事から・・・・・
    天皇家は救われるのだろうか、こんな事を書くこと自体がタブーとは思いつつ・・・・・・ホセア書のエフライムの預言に深い関心を抱いています。

  2. 森 一郎 より:

    私が聖書を読むポイントと天皇即位式に対して まず再臨主は劇的にはやってきませんし
    女が産むわけですので 劇的ではなく ひっそりとですのでわかるはずもありません
    軽挙に関しても 再臨のイエスによって 徐々に清まっていくわけですので
    見える形で 激的には来ません
    イエス様が来られる目的は奇跡を起こすためでもありません。
    第1祝福 人間としての成長
    第2祝福 子女繁殖
    第3祝福 神側の万物統治です
    そのため イザヤ書26章には 島国に神様の全身全霊を注ぎ込む そこに祭司とレビを立てるとおっしゃられています。
    すなわち 天皇家であるわけです。
    キリスト教徒は レビの末裔である日本民族を理解するべきであると考えます。

    • true-ark より:

      キリストの再臨については、信者を迎えに来る空中再臨と、地上を裁きに来る地上再臨とに分けて考える必要があります。地上再臨については、あらゆる聖句が、目に見える形で劇的に来ると預言しています。参考は以下の記事です。
      https://gospel-jw.com/faq-jesus-coming-invisible/

      携挙については、当サイトに記事を載せてあります。

      天皇家についてですが、私は、血族的に、天皇家が、ユダヤの血を引いている、という説に異論はございません。ただし、聖書の預言や舞台の中心は、あくまでイスラエルです。なので、最終的に、天皇家がユダヤ民族の一部として救いに導かれることはあるかもしれませんが、一方で、天皇家の存在が、終末預言のタイムテーブルの解釈に影響を与えるとは思えません。

  1. 2016-10-02

    […] 11. 大艱難時代、キリストの再臨、千年王国の到来 […]

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