新宇宙論:なぜ若い地球で何億光年も彼方の星が見えるのか?


新宇宙論:なぜ若い地球で何億光年も彼方の星が見えるのか?

ジョン・ハートネット博士(John G Hartnett)

「こうして、天と地とそのすべての万象が完成された。2 それで神は、第七日目に、なさっていたわざの完成を告げられた。すなわち、第七日目に、なさっていたすべてのわざを休まれた。3 神はその第七日目を祝福し、この日を聖であるとされた。それは、その日に、神がなさっていたすべての創造のわざを休まれたからである。」(創世記2:1-3)

光年の問題―創造の六日間の疑問

宇宙や地球の起源について、多くの創造論者は、創世記にある通り、神が六日間でこれら全てを造られたと信じている。しかし、天文学が発達した現代においては、宇宙に輝く星々が何億光年も離れた場所に存在することが明白な事実となっており、それによって「なぜ若い地球で何億光年も彼方の星が見えるのか?」という疑問が生じることとなった。

(ただし、創世記1章における創造の六日間が文字通りの24時間を指しているかどうかについては、キリスト教の創造論者の間でも議論がある。別の立場では、創造論の六日間は必ずしも24時間を指してはおらず、もっと長いある一定期間を意味していると考える。ただし、原語のヘブル語を厳密に解釈していくと、創造の六日間は文字通りの24時間を指していると考えるのが最も妥当な解釈となる。)

この問題は、「Starlight Problem」(光年の問題)と呼ばれ、多くの創造論者の頭を悩ませてきた歴史を持つ。実際に、この問題に対する確かな答えを見出だせないために、信仰から離れた人も多いと言う。

しかし、この光年の問題を科学的に説明・解決する「新宇宙論」を提唱している科学者がいる。オーストラリア人の物理学者ジョン・ハートネット博士だ。

ジョン・ハートネット博士

ジョン・ハートネット博士(John G. Hartnett)は、オーストラリアのパースにあるウェスタン・オーストラリア大学(UWA)より、理学士(優等)と理学博士号を授与された人であり、同大学の教授も務めている。

また、現在までに各専門分野で公認された150以上の論文を科学誌に発表し、二つの特許を取得している。また一方で、宇宙論と聖書的創造論に関する研究に取り組んできた成果として、光年の謎を解決する、二つの革新的な理論を提唱している。

そこで本記事では、博士の提唱する二つの理論を簡単に紹介したい。

光年の謎を解決する二つの理論

光年の問題を解決する理論には、二つの種類がある。

(1)時間引き延ばしの宇宙論:ハンフリーズ博士(Humphreys)、ハートネット博士が提唱している理論。ハートネット博士の著書「光年の謎と新宇宙論」で詳しく解説されている。

(2)時間規定の宇宙論(時間の定義に関する視点):ライル博士(Lisle)、ハートネット博士が提唱している理論。
https://biblescienceforum.com/2017/05/06/lecture-a-biblical-creationist-cosmogony-in-japan/

どちらのモデルも、宇宙が有限であり、天の川銀河が宇宙の中心にある、という前提を踏まえている。また、どちらの理論も、アインシュタインの相対性理論を用いて説明している。

(1) 時間引き伸ばしの宇宙論

この理論については、2013年に日本語訳が出版された「光年の謎と新宇宙論」で詳しく解説されており、本の紹介文は次のようになっている。

「百年に一度あるかないかというような極めて斬新で重要なことに貢献した人は世代を越えて記憶される。カルメリとハートネット、きっとこの二人は偉大な物理学者らと共に名を連ねるだろう。カルメリは、宇宙の膨張を組み入れてアインシュタインの相対性理論を拡張し、ハートネットは、聖書の視点で宇宙を見た時に現れる問題をカルメリの理論から驚くべき解決へと導いた。今日、数千年前、創造主が六日間で世界を創造した、とい考えは非科学的以外の何物でもないと言われている。しかし、それは、他説よりもはるかに良く観測事実を説明するではないか。」(アレックス・ウィリアムズ、前国連国際原子力コンサルタント・オーストラリア代表)

なぜ「若い」宇宙で星が見えているのか?その理由についてハートネット博士は、本著の中で次のように語っている。

「前章までに、本著で紹介する創造のモデルから、私たちの銀河(天の川銀河)は、宇宙の中心付近にあることがわかりました。それゆえ、私たちは天空にある創造主の栄光が取り巻いている様が見えるのです。また宇宙の大きさは有限ですが、創造された後、途方もなく大きく膨張させられて(引き延ばされて)その大きさになったこともわかりました。・・・・

宇宙の膨張によって、地球上の時間も極端に引き伸ばされました。すると、創造の週の第四日目に宇宙が膨張している間、宇宙の時計は地球上の時計より、一兆倍も速く進んだことになります。創造の第四日目終わって神(創造主)が宇宙膨張を加速させるスイッチを切られると、宇宙の時間は地球の時間と同じ速さで進み始められました。地球上の時間が引き延ばされていた間、宇宙時間は極めて速く進んだのです。・・・

創造の第四日目に、創造主は天体(星と銀河)を創造されましたが、(この新宇宙物理学で導かれるように)宇宙の時間が少なくとも数兆倍速く進んだのなら、地球の時間で六千年前に創造された宇宙の膨大な距離を光が伝播するのに十分な時間があったことになります。これで、星の光の伝播時間の問題は解決しました!」(光年の謎と新宇宙論、82-83P)

(2)時間規定の宇宙論


2014年に博士が発表した理論で「時間規定の宇宙論」(Time convention model)と呼ばれる。上記で紹介した動画では、ビデオの38分目以降で解説されている。

この理論は、地球に観測者が居たと仮定して、そこに宇宙からの星の光が届いた時点で時間を認証する、というものだが、内容がやや難しいので、詳しくは動画の中での博士の解説を直接ご覧いただきたい。

ハートネット博士の結論

博士は、現代の科学的知識をできる限り用いて、宇宙論を展開しているが、どの理論が確かな真実を伝えているのか、確かなことは言えないと言う。

しかし、これらの宇宙論を展開する重要な意義とは「光年の問題を取り上げて聖書的宇宙論を批判することはできない」ということを証明することにある。

1 天は神の栄光を語り告げ、大空は御手のわざを告げ知らせる。2 昼は昼へ、話を伝え、夜は夜へ、知識を示す。」(詩篇19:1-2)

重要なことは、神は幾つかの点において、超自然的な方法で、何も無いところから、これら宇宙を創造したということだ。

だから、私たちは色々な科学的な手法で宇宙や物理を探求するが、神の全ての業を知ることはできない。なぜなら、そこには自然法則を超越した超自然の力が関係しているからだ。

  • BIBLE SCIENCE FORUM
    博士の論文や創造論に関する多くの情報が収められているウェブサイト。英語が読める方には大変お勧めな情報が満載となっている。

あわせて読みたい