22. 二つの告白―父の御心を行う者が天国に入る|山上の垂訓の解説

22. 二つの告白―父の御心を行う者が天国に入る|山上の垂訓の解説

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二つの告白―御心を行う者が御国に入る(マタイ7:21-23)

21 わたしに向かって、『主よ、主よ。』と言う者がみな天の御国にはいるのではなく、天におられるわたしの父のみこころを行なう者がはいるのです。

22 その日には、大ぜいの者がわたしに言うでしょう。『主よ、主よ。私たちはあなたの名によって預言をし、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって奇蹟をたくさん行なったではありませんか。』 23 しかし、その時、わたしは彼らにこう宣告します。『わたしはあなたがたを全然知らない。不法をなす者ども。わたしから離れて行け。』

主よ、主よ―告白だけでは天の御国に入れない

21 わたしに向かって、『主よ、主よ。』と言う者がみな天の御国にはいるのではなく、天におられるわたしの父のみこころを行なう者がはいるのです。

キリスト(わたし)に向かって「主よ、主よ」と言う者とは誰だろうか?ノンクリスチャンであれば、イエスに向かって「主よ」とは言うことはない。つまり、イエスが言及したのは、信仰を告白したクリスチャンについてであることがわかる。

「天の御国にはいる」とは、神から罪を赦されて救われることを意味するが、イエスは「主よ」と信仰を告白するだけでは不十分で、実際に「わたしの父のみこころを行なう者」で無ければ救われることはない、という衝撃の真理を語った。

御心を行なう者とは―信仰、救い、行いの関係

ここで、信仰と救いと行いの関係について、聖書が何と述べているのかをしっかりと理解する必要がある。聖書は、「人は行いによってではなく、信仰によって救われる」と明確に述べているが、「行いが伴わない信仰は死んだもの」だとも述べている。

「2:8 あなたがたは、恵みのゆえに、信仰によって救われたのです。それは、自分自身から出たことではなく、神からの賜物です。  2:9 行ないによるのではありません。だれも誇ることのないためです。」(エペソ2:8-9)

「24 人は行ないによって義と認められるのであって、信仰だけによるのではないことがわかるでしょう。・・26 たましいを離れたからだが、死んだものであるのと同様に、行ないのない信仰は、死んでいるのです。」(ヤコブ2:24-26)

一見矛盾するようなこれらの言葉は、実は矛盾しておらず、原因と結果の関係に当てはめて正確に定義すれば、以下のようになる。

「信仰」という「原因」は、二つの重要な「結果」をもたらす。第一の結果は、「救い」であり、第二の結果が「行い」となる。

「救い」は、信仰をもった時点で真っ先にもたらされる第一の重要な結果であり、「信仰があるのに救われていない人」は一人もいない。そして「行い」とは「神の御心に適う行い」のことで、信仰がもたらす第二の重要な結果であり、それは信じて救われた人の人生に必ず表れてくるものだ。

したがって、たとえ信仰告白をしても、その人の人生に「行い」が表れていなければ、実際にはその人の内には信仰が無いことを意味する。

「人は心に信じて義と認められ、口で告白して救われるのです。」(ローマ10:10)

イエスに向かって「主よ、主よ、と言う者たち」は、口では主の名を呼び求めるが、その告白は心からの真実な告白ではなく、神の御心に適う行いが伴わないため、結果として主から退けられるのだ。

「14 私の兄弟たち。だれかが自分には信仰があると言っても、その人に行ないがないなら、何の役に立ちましょう。そのような信仰がその人を救うことができるでしょうか。 15 もし、兄弟また姉妹のだれかが、着る物がなく、また、毎日の食べ物にもこと欠いているようなときに、16 あなたがたのうちだれかが、その人たちに、「安心して行きなさい。暖かになり、十分に食べなさい。」と言っても、もしからだに必要な物を与えないなら、何の役に立つでしょう。17 それと同じように、信仰も、もし行ないがなかったなら、それだけでは、死んだものです。」(ヤコブ2:14-17)

預言や奇跡を行うが、不法をなす大勢の者

22 その日には、大ぜいの者がわたしに言うでしょう。『主よ、主よ。私たちはあなたの名によって預言をし、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって奇蹟をたくさん行なったではありませんか。』 23 しかし、その時、わたしは彼らにこう宣告します。『わたしはあなたがたを全然知らない。不法をなす者ども。わたしから離れて行け。』

「その日」とは裁きの日であり、全ての人間は、死んだ後に神によって裁かれることが定まっている。(ヘブル9:27)また世の終わりの日には、生きている人と死んだ人の全てが、神の前に集められ裁きを受ける。(黙示録20:11)

ところがその日には、全人類の審判者であるキリストは、大勢のクリスチャンに向けて「わたしはあなたがたを全然知らない」と言って有罪を宣告する。それらの人々は、イエスの名によって「預言し、悪霊を追い出し、たくさんの奇跡を行った人々」だが、一見最も天の御国に近そうなこれらの人々が救われないのは、一体なぜだろうか?

偽りの信仰へと堕落するクリスチャン

イエス・キリストの名によって悪霊追い出しや癒やしなどの奇跡を行うためには、基本的に信仰が必要となる。さらに、聖書を読む限り、これらの権威や賜物の賦与は、通常それを受けた人の名が天に記されたことも意味する。

「だがしかし、悪霊どもがあなたがたに服従するからといって、喜んではなりません。ただあなたがたの名が天に書きしるされていることを喜びなさい。」(ルカ10:20)

ところが、これらの人々は裁きの日に、「わたしはあなたがたを全然知らない。不法をなす者ども。わたしから離れて行け」と宣告されることとなる。

ここで「知る」と訳されている言葉は、単に「情報・知識」として知っているという意味ではなく、「深く悟る」「特別な関係にある」ことを意味する。また「不法」とは、文字通り「神の法に反する」ことであり、より具体的には、パウロが「肉の行い」として挙げたような行為が含まれる。(ガラテア5:19-21)

つまり、有罪宣告をされた人々は、キリストを知識として知ってはいても、特別な関係によって深く知ることは一切無かったのだ。そして彼らは、主の名によって力ある業を行う一方、神を侮り、見えないところで不法の罪を犯し、悔い改めることが無かったのだ。

なぜ彼らは、そのような罪を犯すようになってしまったのだろうか?彼らが、はじめからそういう人間で偽りの信仰告白をしていたのか(*1)[i]、それとも初めは主に誠実に仕えてはいたが後に堕落するようになったのか?どちらの場合も考えられる。

いづれにしても、彼らは自分たちの心を傲慢にし、神の前で謙遜な態度を持つことができなくなっていたのだ。その関心は神の栄光ではなく自分の栄光に向いており、神からの栄誉ではなく人からの栄誉を求め、霊の思いではなく肉の思いに身を委ねた生活を送っていたのだ。

「6:8 主はあなたに告げられた。人よ。何が良いことなのか。主は何をあなたに求めておられるのか。それは、ただ公義を行ない、誠実を愛し、へりくだってあなたの神とともに歩むことではないか。」(ミカ6:8)

堕落した信仰者の例―イスラエル・教会時代

世界を見渡せば、このような奇跡をたくさん行って、神の御国に貢献をしている伝道者や牧師はたくさん存在するが、裏では不法な行いに手を染めてスキャンダルになる人も後を絶たない。お金の問題や、女性の問題は特に目立つが、裏で悪魔的な働きに加担しているような場合もある。

聖書の中から例を挙げれば、初代イスラエルの王として油注がれた後に、傲慢になって主に不忠実になったサウル。知恵と富による栄光を手に入れものの、偶像礼拝に傾倒してしまったソロモン。その生涯を神に忠実に仕えたにも関わらず、晩年に傲慢になり、祭司の職務に手を出して主に打たれたウジヤ王。十二使徒の一人として選抜され、主の名によって奇跡を行っても、お金に目がくらんでイエスを裏切ったユダ・イスカリオテ。

たとえどれだけ良い業を行ったとしても、不法を行い続け、悔い改めないのなら、そのような人々が神の御国を受け継ぐことは絶対にできないのだ。

「19 肉の行ないは明白であって、次のようなものです。不品行、汚れ、好色、20 偶像礼拝、魔術、敵意、争い、そねみ、憤り、党派心、分裂、分派、21 ねたみ、酩酊、遊興、そういった類のものです。前にもあらかじめ言ったように、私は今もあなたがたにあらかじめ言っておきます。こんなことをしている者たちが神の国を相続することはありません。」(ガラテア5:19-21)

「24 しかし、正しい人が、正しい行ないから遠ざかり、不正をし、悪者がするようなあらゆる忌みきらうべきことをするなら、彼は生きられるだろうか。彼が行なったどの正しいことも覚えられず、彼の不信の逆らいと、犯した罪のために、死ななければならない。」(エゼキエル18:24)

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[i] 奇跡が起きるからといって、必ずしもそれがキリストから来ているとは限らない。悪魔も同じような軌跡を起こすことができるからだ。例えば、モーセがファラオの前に出た時、魔術師たちはモーセの行った奇跡を真似て杖を蛇に変えた。また、現代に日本にある様々な新興宗教においても、癒やしの超自然を起きる場合がある。だから、私たちは、奇跡だからといって惑わされることがないように、よく霊を吟味する必要がある。

 

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