8. イエス・キリストのメシア性~奇跡・預言の成就|聖書の教え

前回の記事では、イエスの自己認識について確認をした上で、イエスのメシア性を四つの観点から検証していく必要を説明した。そして、その内の二つ「教え」「人格」の点においては、イエスはメシアとしてふさわしい人物であったことが確認できた。

今回からの記事では、残る二つの観点「奇跡」「メシア預言の成就」において、そのメシア性を検証していく。

イエスが行った奇跡

あらゆる病気をことごとく癒やした

「人々は、さまざまの病気と痛みに苦しむ病人、悪霊につかれた人、てんかん持ちや、中風の者などをみな、みもとに連れて来た。イエスは彼らをお直しになった。こうしてガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤおよびヨルダンの向こう岸から大ぜいの群衆がイエスにつき従った。」(マタイ42325

イエスは公生涯において、超自然的な力を用いて、あらゆる病気をことごとく癒やしていった。イエスの癒やしの力に関する噂は国中に知れ渡り、人々はイエスが滞在している場所を聞きつけては、病人を連れていったが、イエスは全ての病を癒していった。

なお、イエスが行った奇跡を疑う人もいるが、新約聖書の記録の信憑性は、専門家の間で十分に検証されており、これらの奇跡について、虚偽の記載があったことを証明する証拠は存在しない。[i]

悪霊を皆追い出した

「また、悪霊どもも、「あなたこそ神の子です。」と大声で叫びながら、多くの人から出て行った。」(ルカ441

イエスは病気を癒やすだけではなく、悪霊も皆追い出した。イエスが近づいて追い出そうとすると、全ての悪霊は例外なく憑依している人の元を去った。

その際、多くの悪霊たちは「あなたは神の子です」と叫んで出ていったことは、注目に値する。霊の世界では、イエスが神の子であることが、周知の事実だったのである。

死んで四日経ち腐り始めた死人を復活させた

「イエスはそう言われると、大声で叫ばれた。「ラザロよ。出て来なさい。」44 すると、死んでいた人が、手と足を長い布で巻かれたままで出て来た。彼の顔は布切れで包まれていた。」(ルカ1143-44

イエスは公生涯で、何度か死人を復活させているが、最も際立った例が、上に挙げたラザロの復活である。

通常人間の体は、死んで四日経つと、腐り始め、蘇生の見込みを完全に失う。そのような状態の人間を復活させることによって、イエスは自身が「死人を復活させる権威」持っており、「命の源」であることを証明した。[ii]

ラザロを復活させるイエス

ラザロを復活させるイエス

結論

ユダヤ人の歴史において、奇跡を行った預言者は幾人か存在してきたが、イエスが行った奇跡は、その数や規模、力強さの点において、比類の無いものであった[i]。また、人類の歴史全体を見ても、イエスやその弟子たちほど力強い奇跡を行った人は、他に誰もいない。

したがって、イエスが行った数々の奇跡は、イエスのメシア性をはっきりと示すものであった。イエスは自分について「わたしは命である」と宣言したが、死人の復活という奇跡を通して、その言葉が真実であることを証明したのである。

旧約聖書のメシア預言の成就

イエスは、旧約聖書で預言されていたメシア(救い主)なのか?この質問に対する究極的な回答は、イエスがメシアとして預言されていた通り人生を、送れたかどうかにかかっている。

私たちが人を探す時には、できるだけ探す人の特徴を明確にするものである。挙げられる特徴が多ければ多いほど、的を絞り込むことができ、探しやすくなっていく。

神は、私たち人間が、メシアとなる人物を明確に特定することができるよう、預言者たちを通して、多くの特徴を明らかにしてきた。そのおかげで、預言されていたメシアが誰なのかは、誰でも聖書を調べる時に、はっきりと知ることができる。

前回の記事で学んだ通り、神の人類救済プログラムの中心であるメシアは、二度に渡って地上に到来することになっている。そこで確認すべきなのは、イエスが初臨に関するメシア預言を成就したかどうかである。

当サイトでは、別の記事「イエスは預言されていたメシアなのか」にて、イエスがどのように旧約聖書の預言を成就したのかを詳しく説明しているので、本記事においては、簡単な説明に抑える。

預言1)メシアはユダの部族から生まれる

「王権はユダを離れず、統治者の杖はその足の間を離れることはない。ついにはシロが来て、国々の民は彼に従う」(創世記49:10)

預言2)メシアはダビデの家系から生まれる

「あなたの日数が満ち、あなたがあなたの先祖たちとともに眠るとき、わたしは、あなたの身から出る世継ぎの子を、あなたのあとに起こし、彼の王国を確立させる。彼はわたしの名のために一つの家を建て、わたしはその王国の王座をとこしえまでも堅く立てる」 サムエル7:12,13

預言2における「ダビデ」とは、預言1における「ユダ」の子孫である。神は漸進的な啓示によって、メシアがどの家系から誕生するのかを、徐々に明らかにしていった。預言通り、イエスはダビデの子孫から誕生した。(ルカ2章

預言3)メシアはベツレヘムで生まれる

「ベツレヘム・エフラテよ。あなたはユダの氏族の中で最も小さいものだが、あなたのうちから、わたしのために、イスラエルの支配者になる者が出る。その出ることは、昔から、永遠の昔からの定めである」 (ミカ5:2

イエスの両親のヨセフとマリアは、当時ナザレという町に住んでいた。しかし、丁度マリアの出産のタイミングで、当時のローマ皇帝から人口調査の勅令が出たため、彼らは登録を行うため、故郷の町である「ベツレヘム・エフラタ」に行かなくてければならなくなった。そして、丁度彼らがベツレヘムに滞在している時、マリアは月が満ちて、イエスを出産した。(ルカ2:6-7)

家畜の小屋で生まれたメシア Mary & Jesus by Murillo 15

家畜の小屋で生まれたメシア Mary & Jesus by Murillo 15

預言4)紀元約30年頃にはメシアとして地上にいる

「それゆえ、エルサレムを建て直せという命令が出てから、メシヤなるひとりの君が来るまで、七週と六十二週あることを知り、かつ悟りなさい。」(ダニエル9章25節―口語訳)

メシアの到来の時期は、正確に預言されていた。ここで言及されている7週と62週の年数を聖書の預言解釈の原則に沿って計算すると、合わせて483年になる。ペルシャから出るエルサレムの修復命令から丁度483年後は、紀元30年前後となり、イエスがメシアとして活動した時期と、丁度重なるのである。※より少し詳しい解説はこちら

預言5)メシアは世界中から救世主と見做される

「わたしはあなたを・・・もろもろの国びとの光として与え」た。(イザヤ426節)

世界のキリスト教人口は23億であり、世界人口全体のおよそ32%である。またキリスト教とその聖典である聖書は、最も世界的な広がりを見せる宗教と書籍である。この預言は、現代の世界に驚くべき仕方で、成就し続けている。

預言6)メシアは、悪人と共に殺され、金持ちの墓に葬られる

「彼の墓は悪者どもとともに設けられ、彼は富む者とともに葬られた。彼は暴虐を行なわず、その口に欺きはなかったが。」(イザヤ53章9節)

イエスは一人ではなく、二人の犯罪者たちと共に、十字架刑で罪人として処刑された。その後、アリマタヤのヨセフという金持ちの議員が、イエスの死体の引取を願い出て、その遺体を彼が用意していた空の墓に葬った。

空になったイエスの墓

イエスが埋葬された金持ちの墓

 

これまでに、イエスが成就したメシア預言を、六つ取り上げたが、続く記事では、残りの二つの重要なメシア預言を取り上げる。その預言の内容は、「罪の贖いとしての死」と「死者の中からの復活」である。

⇒9. イエス・キリストのメシア性~罪の贖いと十字架の死

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 脚注

[i] イエスの公生涯の記録が信頼に値する理由は以下の通りである。

イエスの公生涯が記録された福音書や、パウロ書簡などは、早いもので、イエスの死後30~40年以内に書かれているが、それはイエスの奇跡を目の当たりにした人々が、まだ国中で多く生存している時代である。当時、クリスチャンに反対する人間はたくさん居たため、もしイエスの奇跡を誇張するような記述があったのなら、すぐに反対者たちによってその虚偽が暴かれていたことだろう。

イエスが確かに奇跡を行った証拠は、当時最も敵対していたユダヤ教の指導者たち自身が、彼らの正典であるタルムードに残している。それによれば、「イエスは魔術を行って、人々を扇動した」とあり、イエスの奇跡が否定できないほど明らかだったことが伺える。

[ii] 当時のユダヤ教の教師たちは、死んで四日以上経った死体を復活させることができたら、その人こそメシアだと、民衆に教えていた。イエスはラザロの復活によって、自身がメシアであることを公に明らかにしたのだったが、それを聞いた教師たちは、かえって自分たちの保身を求め、イエスの殺害を本格的に計画し始めた。

[ⅲ] イエスの時代のユダヤ教の指導者たち(パリサイ人)は、奇跡の種類を、通常の奇跡と、メシアだけが行うことができる「メシア的奇跡」とに分けていた。メシ ア的奇跡は主に三つあり、「生まれつきの盲人の目の癒やし(ルカ5章)」「ツァラート患者(らい病)の癒やし(マタイ12章)」「口を利けなくする悪霊の 追い出し(ヨハネ9章)」だった。イエスは公生涯において、これら全ての奇跡を難なく行ったが、ユダヤ人たちの心の頑なさゆえに、メシアとして拒否され、 十字架に架けられた。

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