ノアの大洪水での植物の生存―箱舟を出たばかりの動物は何を食べたか

ノアの大洪水での植物の生存―箱舟を出たばかりの動物は何を食べたか

ノアが箱舟を出る時には、既にオリーブが再生していた。

大前提として、ノアの大洪水の事件の背後には、超自然的な全能の神の力が働いている。神に超自然の力で大洪水を起こすことができたのなら、同じような力で、箱船を出た後の動物たちに植物を食べさせることも可能だっただろう。

だから、大洪水を完全に否定するためには、「大洪水を起こした全能の神が存在しない」という前提を据えなければならないが、その前提を裏付ける根拠を示すのは至難の業だろう。

とはいえ、聖書の記録を見る限り、神は多くの場合、ご自身が定めた物理法則に沿って、物事を進めるようだ。次元を越えた霊の法則にしたがって奇跡を行う頻度は、歴史的には決して多いわけではないからだ。

今回のご質問の件については、奇跡を抜きにして、ある程度論理的な説明を試みることが可能だ。

植物は海水(塩水)の中で生き延びられるか?

聖書の記録によれば、ノアの大洪水によって、当時の地上の全ての植物が、一定期間水没したことは確かだ。(ただし、箱船の中で保存されていた植物や、生き埋めになった動物の死体の中にある種子などは除く)それら多くの植物は、どのようにして生き延びたのだろうか?

この点に関する回答は、書籍「創造の疑問に答える」から、直接引用させていただく。

「多くの陸上植物の種子は、高濃度の塩水に浸されていても長期間生存できます。実際、塩水が趣旨の発芽を抑えるので、淡水中にあるより生き延びるという種類もあります。他の植物は塊となって浮遊、あるいは火山から出た軽石に付いて生き延びることができたでほう。多くの植物は有性生殖せずともその一部分から再生可能です。

多くの植物が方舟の食物の蓄えとして、あるいは偶然紛れ込んで生き延びたでしょう。多くの種には動物にくっつく仕掛けがあり、そのようにして洪水を生き延びたものもあるでしょう。他に、膨らんで浮いている草食動物の死骸の胃の中で生き延びたものもあるかもしれません。

ハトがノアに持ち帰ったオリーブの葉(創世記8:11)は、ノアと家族が箱船を降りる前に植物が再生していたことを示しています。(『「創造」の疑問に答える、第14章、214p』)

聖書(創世記)からわかる、水が覆われた期間

7:11 ノアの生涯の六百年目の第二の月の十七日、その日に、巨大な大いなる水の源が、ことごとく張り裂け、天の水門が開かれた。12 そして、大雨は、四十日四十夜、地の上に降った。

13 ちょうどその同じ日に、ノアは、ノアの息子たちセム、ハム、ヤペテ、またノアの妻と息子たちの三人の妻といっしょに箱舟にはいった。14 彼らといっしょにあらゆる種類の獣、あらゆる種類の家畜、あらゆる種類の地をはうもの、あらゆる種類の鳥、翼のあるすべてのものがみな、はいった。15 こうして、いのちの息のあるすべての肉なるものが、二匹ずつ箱舟の中のノアのところにはいった。16 はいったものは、すべての肉なるものの雄と雌であって、神がノアに命じられたとおりであった。それから、主は、彼のうしろの戸を閉ざされた。

17 それから、大洪水が、四十日間、地の上にあった。水かさが増していき、箱舟を押し上げたので、それは、地から浮かび上がった。 18 水はみなぎり、地の上に大いに増し、箱舟は水面を漂った。19 水は、いよいよ地の上に増し加わり、天の下にあるどの高い山々も、すべておおわれた。20 水は、その上さらに十五キュビト増し加わったので、山々はおおわれてしまった。

21 こうして地の上を動いていたすべての肉なるものは、鳥も家畜も獣も地に群生するすべてのものも、またすべての人も死に絶えた。22 いのちの息を吹き込まれたもので、かわいた地の上にいたものはみな死んだ。23 こうして、主は地上のすべての生き物を、人をはじめ、動物、はうもの、空の鳥に至るまで消し去った。それらは、地から消し去られた。ただノアと、彼といっしょに箱舟にいたものたちだけが残った。24 水は、百五十日間、地の上にふえ続けた

8:1 神は、ノアと、箱舟の中に彼といっしょにいたすべての獣や、すべての家畜とを心に留めておられた。それで、神が地の上に風を吹き過ぎさせると、水は引き始めた。2 また、大いなる水の源と天の水門が閉ざされ、天からの大雨が、とどめられた。 3 そして、水は、しだいに地から引いていった。水は百五十日の終わりに減り始め、4 箱舟は、第七の月の十七日に、アララテの山の上にとどまった。 5 水は第十の月まで、ますます減り続け、第十の月の一日に、山々の頂が現われた

6 四十日の終わりになって、ノアは、自分の造った箱舟の窓を開き、7 烏を放った。するとそれは、水が地からかわききるまで、出たり、戻ったりしていた。 8 また、彼は水が地の面から引いたかどうかを見るために、鳩を彼のもとから放った。 9 鳩は、その足を休める場所が見あたらなかったので、箱舟の彼のもとに帰って来た。水が全地の面にあったからである。彼は手を差し伸べて鳩を捕え、箱舟の自分のところに入れた。

10 それからなお七日待って、再び鳩を箱舟から放った。 11 鳩は夕方になって、彼のもとに帰って来た。すると見よ。むしり取ったばかりのオリーブの若葉がそのくちばしにあるではないか。それで、ノアは水が地から引いたのを知った。

12 それからなお、七日待って、彼は鳩を放った。鳩はもう彼のところに戻って来なかった。  13 ノアの生涯の第六百一年の第一の月の一日になって、水は地上からかわき始めた。ノアが、箱舟のおおいを取り去って、ながめると、見よ、地の面は、かわいていた。 14 第二の月の二十七日、地はかわききった

15 そこで、神はノアに告げて仰せられた。 16「あなたは、あなたの妻と、あなたの息子たちと、息子たちの妻といっしょに箱舟から出なさい。17 あなたといっしょにいるすべての肉なるものの生き物、すなわち鳥や家畜や地をはうすべてのものを、あなたといっしょに連れ出しなさい。それらが地に群がり、地の上で生み、そしてふえるようにしなさい。」

18 そこで、ノアは、息子たちや彼の妻や、息子たちの妻といっしょに外に出た。 19 すべての獣、すべてのはうもの、すべての鳥、すべて地の上を動くものは、おのおのその種類にしたがって、箱舟から出て来た。

大洪水から地が乾くまでのタイムテーブル

  1. ノアの生涯の六百年目の第二の月の十七日:大洪水が始まり、ノアたちは箱舟に入る
  2. 洪水開始~150日間:水は増え続けて、全地を覆う。
  3. 150日目~第十の月の一日:水は減り続け、山々の頂きが現れ始める。(七ヶ月半後)
  4. 第一の月の一日:水は地上から乾き始める。(10ヶ月半後)
  5. 第二の月の二十七日:地上は乾ききった。(洪水開始から一年後)

ノアが方舟に入ってから出るまでの期間が丁度1年だったことから、多くの人は、丸々1年の間、全地が水に覆われていた、と錯覚するが、聖書の記録を読む限り、それは誤解であることがわかる。

上記のタイムテーブルを見ればわかる通り、既に大洪水から七ヶ月半後には、山々の頂上が現れ始めているのだ。さらにその三ヶ月後には、湿っていた地上が徐々に乾き始め、それから一ヶ月半後(大洪水開始から丁度1年)に、ようやく地上は乾ききり、ノアの家族や動物たちは、箱舟から出たのだ。

つまり、ノアや動物たちが箱舟を出たタイミングは、地上が現れ始めた時ではなく、地上全体が乾ききった時だったのだ。計算をすると、それらのタイミングの間には、四ヶ月半ものタイムラグがあるのだ。

ノアが鳩を放ち、オリーブの葉を取ってきた時は、既に山々の頂きが現れてからおよそ50日後であり、オリーブの木は既に再生し始めていたようだ。地上が乾ききるまでの四ヶ月半の間に、多くの植物は、再生し始めていたと考えられる十分な理由が存在するのだ。

塩害が食物が育たなかったのではないか?

この点については、考慮すべき点が二つある。

まず、大洪水が地を覆った時、海水以外の大量の水が流れ込んだ。大量の雨が降ると同時に、聖書の記録によれば、「巨大な大いなる水の源」(おそらく地下水)も開かれた。詳しくは、「ノアの洪水―その水について」をご覧いただきたい。

それらの水の流入によって大洪水が生じたということは、一時的に、海水の塩分濃度はかなり薄められたと見て間違はないだろう。

また、食物の中には、塩害に強いものと、そうでないものがある。それぞれにどんな種類があり、どの程度の数の種があるのか、現時点で確認をしたわけではないが、大洪水直後に再生した食物は、塩害に強い種が多かった、と推測することは可能だ。

以上の理由から、箱舟を出たばかりの動物たちは、それらの再生し始めていた植物を、食料として食べていたと考えることができるだろう。

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